会見に臨む元自衛官の五ノ井里奈さん=12月13日

 福島地裁で強制わいせつ罪に問われた元上司3人への有罪判決が下されてから一夜。元陸上自衛官の五ノ井里奈さん(24)が13日、日本外国特派員協会(東京都千代田区)で会見を開き、判決や告発後に受けた誹謗中傷への思いを語った。
 
 被告の男3人は2021年8月、北海道の演習場で開かれた宴会の場で、五ノ井さんを倒して手で股を開くなどし、腰を振って服の上から陰部を接触させたなどとして強制わいせつ罪に問われた。
 
 被告3人は「笑いをとるためで性的な意図はなかった」などとわいせつ行為を否定し、無罪を主張していた。

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 12日の判決公判で三浦隆昭裁判長は、被告らの行為について、わいせつ性を認め、
 
「被害者の人格を無視し、被害者を宴会を盛り上げる物として扱うに等しい。性的羞恥(しゅうち)心を著しく害する卑劣で悪質な態様」

 と指弾した。

応援の声も寄せられたが一方で……

 
 さらに3被告の供述も「被害者、目撃者の供述と矛盾し、不自然で不合理」として信用できないとした。
 
 一夜明け、午前10時半から会見にのぞんだ五ノ井さん。
 
「命を削ってやってきた。悪ふざけではすまされない、悪いことは悪いと、日本の社会に知らせることができて良かった」

 と福島地裁の判決を評価した。
 
 ただ、無罪を主張し続けた被告の元上司3人については、「心から反省して欲しいという思いで戦ってきたので、私の思いが伝わらなかったという面では残念」とも。
 
 また、告発後、ネット上では五ノ井さんを批判するコメントが数多く投稿された。応援してくれる声が多く寄せられた一方で「心を引き裂くような批判的な声がたくさん届いた」と五ノ井さん。

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國府田英之

國府田英之

1976年生まれ。全国紙の記者を経て2010年からフリーランスに。週刊誌記者やポータルサイトのニュースデスクなどを転々とする。家族の介護で離職し、しばらく無職で過ごしたのち20年秋からAERAdot.記者に。テーマは「社会」。どんなできごとも社会です。

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