こんな私が「お金の存在感が濃い環境」から抜け出せたのは、「なんか今の部屋が気に入らない」と漠然と思い続けるのをやめて、隣接する建物との距離、周囲の騒音の具合、近隣の人との関係など、自分が「苦手な環境」「具体的な避けたい条件」を手がかりにしながら、「心地よく過ごせる環境」を改めて考え直したからでした。
そしてある程度、嫌なことや不満が洗い出せたら、次は「これまで良かった、満足した点はどこか?」という条件で絞り込んでいき、徐々にお気に入りの部屋を選択する精度を上げていきました。
まず嫌なことを解消する、次に好きで満足した点を反映する……この2段階のフィルターが重要なようです。
自分にとって「心地よい環境」とは?
部屋選びは、仕事やもの選びと同じかもしれません。今持っているものがなんか違うなと思っても、「デザインが好みじゃない→どんなデザインならいいか」「使いにくい→どの場面でどう使いにくいのか」など、具体的にどこが嫌で不満と思っているかがわかっていないと、それらをクリアしたものは見つけ出せません。
自分の“嫌と不満”をオセロの黒から白へ変えていった結果、私が好きな住環境は、「日当たりがよく、風通しがよく、騒がしくなく、自然が多く、窓からの風景がいいこと」になりました。
日当たりがよいと太陽の光が入ってきて、部屋全体が明るく暖かくて快適なので暖房器具がそれほどいりません。風通しがよいと、梅雨もじめじめせず、夏場は涼しく快適です。
加えてベランダがあると、洗濯機や脱水機を使わずとも洗濯物の扱いがかなりラクです。騒がしくないと心穏やかに過ごせ、自然に囲まれた環境だと窓からの風景で四季の移ろいが楽しめる……といった具合です。
そうすると自ずと、日当たり・風通しがよい=目の前に建物がなく窓が2面以上ある間取り、騒がしくない=駅や大通りから離れている、自然が多い=都市部は避ける、というふうに絞り込む条件が決まっていきました。
書いてみると何一つ際立ったことはないという感じなのですが、仕事や買い物、レジャーに気が向いていると「これが好き」とか「心地よい」ということが意外と見えなくなるのかもしれません。
ただ節約するだけでは心が満ちる生活にはなりません。自分の感覚を優先する、ということが住まいにも大事なのだと、つくづく感じます。