拓殖大・不破聖衣来
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 来春の箱根駅伝を残すのみとなった今年度の男子大学駅伝界は、出雲、全日本を制した駒澤大の「2年連続三冠なるか」に注目が集まっているが、女子大学駅伝界では名城大が「6年連続の二冠」に王手をかけている。果たして、この絶対女王を脅かすチームはあるのだろうか。

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 女子駅伝の「二冠」とは、毎年10月開催の『全日本女子駅伝』と12月開催の『富士山女子駅伝』である。近年、その両大会を席巻しているのが、1995年の創部から米田勝朗監督のもとで強化に励み、自主性を重視したチーム作りで成功した名城大だ。これまで加世田梨花、高松智美ムセンビ、小林成美らのスターランナーとともに最強チームを作り上げ、昨年の『富士山女子駅伝』では、2年連続で1区から一度も首位の座を譲らず、全7区間5区間で区間賞を獲得する“王者のタスキリレー”で5年連続の二冠を達成した。

 迎えた今季、前年までチームの顔であった小林成美、山本有真の2人が卒業したが、『富士山』を走った7人中5人がチームに残った。現状、エースと呼べる選手は不在だが、実力者が揃う新2年生、そして計8人が入部した逸材揃いの新1年生たちによってチームの新陳代謝を推し進め、今年10月29日の『全日本』では、1区・米澤奈々香(2年)、2区・力丸楓(1年)がともに区間2位の走りを見せた後、3区・石松愛朱加(2年)が区間賞の走りでトップに立つと、4区・薮谷奈瑠(1年)、5区・原田紗希(2年)がともに区間4位の走りで首位キープ。そしてアンカーの谷本七星(3年)が区間賞の快走でゴールテープを突っ切った。

 結果的に名城大の優勝回数が増えることにはなったが、同タイムでゴールした2位・大東文化大、3位・立命館大と名城大との差は52秒。以下、4位・城西大とは1分37秒差、5位・日本体育大とは2分16秒差だった。昨年の同大会を振り返ると、1位・名城大と2位・立命館大とが2分31秒差。今年の大会では名城大の6区間中5区間が1、2年生という“若さ”を“経験不足”と置き換えた上で、昨年大会よりも大きく縮まった2位以下とのタイム差を鑑みると、名城大を倒すチャンスは、少なくとも昨年よりは大きいと言える。

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名城大の牙城が崩れる可能性も?