よく行く中華屋さんが帰りがけに芋を持たせてくれた。深く感謝し再訪を誓う。これぞ持続可能な商売(写真:本人提供)

 なのに、私は驚きも憤りもしなかったのだ。

 だって、不要なもの、なくても全くどうってことないものを、ないと大変なことになるとか、あれば絶対幸せになる(=ないと不幸になる)とか煽り不安にさせ売りつけるのは、今や多くの会社が常識の如く普通にやっている。ものが溢れまくった社会でモノを売ろうとすればそういうことになるらしい。これが我らが豊かさの終着点だったのだ。

 いや客はまだ良いんです。気をつければ済むのだから。私が気になるのは売る側だ。彼らは決して自らの行為に無自覚ではない。相手の弱みにつけ込んでいることは十分承知。プロですからね。となると実は一番傷つくのは売る側である。私自身、すごく身に覚えがあるのでそこは断言できる。人を騙し傷つけて生きていると人は孤独になり頼みは金だけとなり、金に振り回され金がなくなることに怯え続けて生きるしかなくなる。これを生き地獄という。

AERA 2023年12月18日号

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