元朝日新聞記者 稲垣えみ子

 元朝日新聞記者でアフロヘアーがトレードマークの稲垣えみ子さんが「AERA」で連載する「アフロ画報」をお届けします。50歳を過ぎ、思い切って早期退職。新たな生活へと飛び出した日々に起こる出来事から、人とのふれあい、思い出などをつづります。

【写真】よく行く中華屋さんが帰りがけに芋を持たせてくれた。深く感謝し再訪を誓う

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 もはやアエラ定番とも言える先日の投資特集で、感慨深く拝読したのが「新NISAで騙されない」。サブタイトル「現役銀行員が語る金融商品セールストークの裏側」からもわかるように、初心者が銀行や証券会社の窓口に行くと不要な商品を売りつけられかねないからと、「気をつけポイント」を懇切丁寧に指南する記事だ。

 詳細内容は読んで頂くとして、私がハッとしたのは自らの感想。「ええっ、そんなひどいことが!」とは全く思わず、なるほどそうよねーと大変素直に受け止めたという事実である。

 だって、改めて考えたらこれって相当ひどい。専門家を頼り来店した客を、その専門家が「しめしめカモがきた」とだまくらかすって話なんだから。無論商売にはそのような要素が多少はあるんだろうが程度ってもんがある。ネギを買いに来た客にダイコンも安いヨとお勧めするのと、客に知識がないのを良いことに、上手く言いくるめて手数料の高い損な商品を押しつけることには質的に大きな違いがある。

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稲垣えみ子

稲垣えみ子

稲垣えみ子(いながき・えみこ)/1965年生まれ。元朝日新聞記者。超節電生活。近著2冊『アフロえみ子の四季の食卓』(マガジンハウス)、『人生はどこでもドア リヨンの14日間』(東洋経済新報社)を刊行

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