こうして上野さんのことを書いている私も、彼女からいわせれば卑しいのか。
私たちはどうも分かり合えないようだ。私が考える卑しさとは、違う。
たとえば、ジャニーズ事務所のジャニーさん問題、海外メディアが報じても、日本では、上野さんがいうところの卑しい『週刊文春』しか扱わない。上野さんや上野さんの子分たちと一緒に、「性的搾取が!」「ジェンダーが!」と始終騒いでいるメディアはだんまりだ。この週刊誌の大元の会社、朝日新聞社はとくにこの話題が好きである。上野さんがカウンターで手記を出した婦人公論も、この手の話が好物だ。なぜ、この件では動かないの? 偉そうに正義風味だけど、正義で動いてないからじゃない?
室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中
※週刊朝日 2023年4月7日号