今西憲之
2023年も年の瀬に迫った。そこで、AERA dot.上で下半期に読まれた記事を振り返る。社会編の2位は「『父娘でコスプレ姿も』札幌・遺体切断事件で逮捕の親子3容疑者 自宅は『ゴミ屋敷のよう』」（7月27日配信）だった。（※肩書年齢等は配信時のまま）
札幌市の歓楽街で知られるススキノのホテルの一室で、7月2日に男性の遺体が首を切断された状態で見つかった事件は、両親と娘の親子3人が逮捕されるという異例の展開となった。父は精神科医として周囲の評判もよかったが、近隣からは、少し変わった雰囲気だったとの声もある。
逮捕されたのは、いずれも札幌市厚別区の職業不詳、田村瑠奈容疑者（29）、父で精神科医の修容疑者（59）、母の浩子容疑者（60）。3人は共謀して7月1日深夜から2日未明にかけ、札幌市中央区のホテルで、死亡した男性の首を切断し、頭部を自宅まで運んで遺棄した疑いが持たれている。いずれも死体損壊、死体領得、死体遺棄の疑いで、瑠奈、修の両容疑者は24日、浩子容疑者は25日に逮捕された。北海道警は、認否を明らかにしていない。
遺体の身元は、北海道恵庭市の会社員、浦仁志さん（62）で、道警が札幌市厚別区の3容疑者の自宅を捜索したところ、頭部が見つかったという。
これまでの経緯をまとめると、7月1日、札幌市のディスコで開かれていたイベントに浦さんは参加していた。その後、浦さんは午後10時半ごろに瑠奈容疑者とみられる人物と合流し、ホテルに入った後、殺害されたとみられている。翌2日の午前2時ごろにホテルのフロントに「先に出ます」と内線電話があり、瑠奈容疑者とみられる人物が一人でスーツケースを引いてホテルを出た。その後、浦さんの遺体が発見されたのは2日午後のことだった。
自宅に切断された頭部
浦さんの住まいは札幌市から40km近く離れており、普段は地元で働く会社員だった。その浦さんが、女装してイベントに参加していたことがわかり、容疑者の犯行後の足取りがつかめきれなかったことなどから、様々な臆測を呼ぶ事件となっていた。
「最初は、防犯カメラの映像が瑠奈容疑者を追いきれなくなったことで捜査が難航していたが、当時の瑠奈容疑者の足取りから浦さんとホテルにいたことが判明した。さらに、修容疑者が瑠奈容疑者の行き帰りを車で送迎していたこともわかった。修容疑者の自宅の家宅捜索で切断された頭部が見つかり、浩子容疑者も頭部が家にあることを認識していたため逮捕となった。修容疑者は、瑠奈容疑者が浦さんを殺害したことを認識して迎えに行っていたとみられ、共犯関係との見方だ」（捜査関係者）
今西憲之
大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は３０年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。
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