常にクマ撃退スプレーを噴射できる状態で中央アルプス山麓を歩く動物写真家・宮崎学さん=2017年10月、長野県駒ケ根市、米倉昭仁撮影

 しかし、クマにばったり出くわしたときに落ち着いて対応するには、備えが必要だ。

 山中を歩く際はスプレーを手の届く位置に、いつでも使える状態で携帯しておくことが重要なうえ、パニックになってもセイフティ・クリップを外し、適切な距離でクマに噴射しなければならない。切迫した状況下で一連の動作を行う練習用として、カプサイシンが含まれていない製品も販売されているという。
 

 登山用品店などにクマ撃退スプレーを卸している業者によると、クマによる人身被害が増えた今年は、特に問い合わせが多かったという。

 しかし、クマ撃退スプレーはクマから身を守るための「最後の手段」だ。山中ではホイッスルを鳴らすなどして人の存在をクマに知らせ、クマと出合わないことが何よりも大切だ。

 長年、カウンターアソールトを愛用してきた米田さんは、こう語る。

「メーカーによると、90%の撃退実績があるそうです。でも残り10%はそれでも襲われる。どんなに可愛らしく見えても、クマはクマでしかありません」

 道具の「力」を過信することも、その危険性を過小に見ることもないようしたい。

(AERA dot.編集部・米倉昭仁)

暮らしとモノ班 for promotion
【フジロック独占中継も話題】Amazonプライム会員向け動画配信サービス「Prime Video」はどれくらい配信作品が充実している?最新ランキングでチェックしてみよう