
カウンターアソールトも含めた一般的なクマ撃退スプレーの主成分は、唐辛子に含まれる「カプサイシン」だ。
食べ物に含まれるものだけに、カプサイシンが人や動物の体内に入っても害はない。しかし、ガス状になったカプサイシンを浴びると、目や鼻、口、のどなどの粘膜に焼けるような痛みを覚え、呼吸が難しくなる。
万が一、顔に付着したときは冷たい水で目や鼻の中をよくすすぎ、十分にうがいをする必要がある。頭髪や衣服も洗わなければならない。45分経過しても痛みがとれない場合は、医師の診察を受けたほうがいいという。
原型は対人用の「兵器」
藤村さんの資料などによると、クマ撃退スプレーの原型は、1930年代に米軍が非致死性の兵器として開発したもの。これがクマ対策に使えると米モンタナ大の研究者が着目し、1986年にカウンターアソールトが誕生したのだという。
藤村さんは1990年にクマ撃退スプレーを日本で初めて商業目的で輸入し、普及させた人物だ。野生動物、特にクマによる被害防止に取り組んできた一方、
「(クマ撃退スプレーの)事故防止に関して、カタログにくどいほど詳しく書いてきました」
と話す。
クマを撃退する威力があるだけに、スプレー上部にある噴射レバーを間違って押さないように、レバーを挟むように「セイフティ・クリップ」が設けられている。
そして藤村さんによると、スプレーを山中以外で持ち運ぶときには、セイフティ・クリップが外れないように専用のホルスターなどに入れるかビニールテープなどで固定し、そして製品をビニール袋に入れて密閉し、さらにエアーキャップなどの緩衝材で包む、という「厳重さ」で取り扱うべきものだという。