最初に参加したボランティア講師が担当した授業風景

設立から1年で生徒は50人に

 アルバイトを掛け持ちしながら、2013年5月にNPO法人化を目指すための準備を始めました。これまでは全くもって個人の活動でしたが、生徒やボランティア講師が集まるようになり、活動を個人で対応できる範囲にとどめるべきではなく、オープンな形で進めていくべきだと思うようになりました。

 その根っこにあったのは、私的な活動から公的な活動へ、さらに八王子から全国へ無料塾を広めたいという思いでした。

 この当時は、八王子つばめ塾どころか無料塾自体が全く知られていませんでした。私が無料塾の活動を広めるべく「無料塾を作りませんか」と話をしても、どこの馬の骨とも分からない男が、聞いたこともない塾を作ろうと言っているだけです。そこで、しっかりとした団体が運営しているという裏付けを得るためにNPO法人化が必要だと考えました。

 すべては「現在の収入格差を、子どもたちの教育格差にしない。そして現在の教育格差を、次世代の収入格差につなげない」という大きな目標のためです。

 東京都の認証を受け、2013年10月28日付けで「特定非営利活動法人八王子つばめ塾」になりました。

 苦しい生活が続く一方、八王子つばめ塾には、次から次へと関わる人が増えていきました。設立当初は、「2〜3年後に生徒が10人いて、5教科のうち1教科でも上手に教えられる講師が各教科で1人ずつ、合計5人も集まれば、立派な教育ボランティアだと胸を張れる」とイメージしていました。ところが1年後には生徒が50人にまで増え、ボランティア講師も約60人と大所帯になります。

 たった1年でここまで大きくなるとは、予想だにしていませんでした。

※【後編】<子どもを救う「無料塾」という生き方の原点となった貧困体験 大学受験直前「家の全財産は800円」>に続く(12月5日公開)

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