家族旅行を楽しむ武内さんファミリー。画像の一部を加工しています(写真=本人提供)

不妊治療を公表しなかった理由

「不妊治療して一緒に闘っている間は、病院の待合室にいる人であれば、たとえ知らない人でも仲間なんです。でも、赤ちゃんができた途端にそこを抜けることになる。なんていうか……、どうしても距離ができてしまう。不妊治療を続けるのはお金もかかるし、精神的にも辛いし、いつ終わりが来るのかもわからない。苦しい中でみんな頑張っているんです。昨日まで私もそこにいたわけで、そのことを考えると発信するのが難しかった。だから公表できませんでした」

 数年に及ぶ不妊治療の末、授かった長女。高齢出産だったこともあり、当初は、次の子をつくる予定はなかったという。なぜ、気持ちが変わったのだろうか。きっかけは、夫と見たホームビデオだったという。

「長女が初めてたくあんか何かを切っている動画を夫と見ていたんです。その映像の中で、長女に『うわぁー、すごいきれいだねー!』『切れたねー!』って、大の大人が二人で寄ってたかってかまっているのを見て、『うわっ、これは……』って思って。なんだか、過剰な感じがしたんですよね。でも、かわいくてどうしてもかまってしまうのは目に見えてるので、それではこの子も大変だろうなと感じて。それまでは、1人生まれたからいいよねって言ってたんですけど、もう1人つくることを決めました。夫は一人っ子で、家の中で逃げ場がないっていう経験をしていたことも大きかったかもしれません」

 次女の妊娠がわかったとき、そのことを隠して、当時5歳だった長女に「もう1人赤ちゃんが来てもいいかな」と話したことがあるという。

「そしたら娘が不思議なことを言ったんです。『ママのおなかがいいって子がいっぱい来て、私のときより大変になるけど大丈夫?』って」

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