武内陶子さん(撮影/写真映像部・和仁貢介)

長女が言った「私の後ろにもまだ並んでた」

 武内さんが「どういうこと?」と問うと、長女はこう続けたという。

「『だって、私が空の上で並んでるとき、後ろにまだ並んでた』って答えるんですよ。実は彼女、胎内記憶が残っているんです。2歳半くらいのときに、ひげが生えたおじいさんから、『いま行きなさい』って言われたから、彼女は私の元に来た、って言うんですよ。何人も列になって並んでいて、おじいさんが言うんですって。そういう研究をしている方もいるそうで、同じような話をほかの子どもたちもすると知りました」

 そのようなやりとりをしたあと、病院に行った武内さんは医師の言葉に驚いたという。

「お医者さんが『武内さん、双子って聞いてます?』って言うんです。『えー! 聞いてないです』って。娘に言った当時、妊娠から1~2カ月くらいだったので、私自身も双子かどうかわかっていないときだったんです。だから本当にびっくりして。娘の言っていたのはそういうことだったのかってわかりました」

 そして、武内さんは、あることに思いが至ったのだという。

「長女を妊娠したのが、03年の紅白歌合戦の総合司会を務めた直後だったんです。だから、その話を聞いたときに、『あなた待っててくれたのか……』って彼女に対して思って。当時は『遅いなぁ』と思っていたけど、遅くもなく早くもなく、あのときが私の出産のときだったんだろうなと納得できましたね」

(AERA dot.編集部・唐澤俊介)

※【後編】(12月3日公開)に続く

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唐澤俊介

唐澤俊介

1994年、群馬県生まれ。慶應義塾大学法学部卒。朝日新聞盛岡総局、「週刊朝日」を経て、「AERAdot.」編集部に。二児の父。仕事に育児にとせわしく過ごしています。政治、経済、IT(AIなど)、スポーツ、芸能など、雑多に取材しています。写真は妻が作ってくれたゴリラストラップ。

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