一つは、選挙なしで来年秋の自民党総裁選までなんとか低空飛行を続けること。その間に、支持率の若干の回復を図り、党内派閥の談合により、再選を果たす。その後、衆議院の任期が来るまでの1年以内に支持率をさらに回復して解散総選挙を行い、負けを最小限に抑えて、党内の退陣要求を抑え込む。「時間稼ぎ」の戦略だ。
もう一つは、立憲民主党の人気が低迷し、日本維新の会も準備が整わないうちに解散し、過半数プラスアルファで「勝利」宣言をして、党内の岸田おろしを封じる戦略だ。野党が政権交代できる体制にないことを利用するわけだ。来年度のばらまき予算を成立させ、減税が施行される来年6月以降が一つのタイミングになる。
それを狙っているのだろうか、来春には、「国賓待遇」で米国を訪問すると報じられた。国賓待遇だから、普通の訪米よりもはるかに手厚いもてなしを受け、議会での演説など見せ場も設定されるだろう。バイデン大統領とハグして「ジョー」「フミオ」と呼びかわし、バイデン氏に肩を抱かれてフラッシュを浴びる。世界一の大国アメリカの大統領との親密さを見せつける政治ショーで支持率を急回復させたいという「夢」を岸田首相は抱いているのだろう。
しかし、国民はそれほど馬鹿ではない。どんな戦略でも事態打開は至難の業。
それを見越して、すでに岸田首相を退陣させて総裁選を前倒しで行い、人気のある総裁を選挙の顔にして解散総選挙に打って出るという話が自民党内では始まっている。