「超大手は人材の確保に苦戦するところはまだ少ないですが、多くの企業は採用状況が厳しく、間口を広げています。未経験でも採用して自社で育てれば、1年後には実務経験のあるエンジニアと同等レベルになると言われています」(同)
具体的にどんなことを学ぶのか。藤見さんは言う。
「営業事務などの多くの事務職はAIなどの進化により失われていくと言われています。事務職の方こそ、ITツールを使いこなせることが採用に有利に働きます」
昔の営業といえば、電話でアポを取ってお客のもとに出向く「足で稼ぐ」スタイル。だが時代は変わり、何度もホームページを訪れる見込み客にアタックして商談する人につなぐ、デジタルを活用した営業が欠かせなくなっている。
このため講座では、顧客管理ツールの使い方を学ぶ。さらに、データを分析し、受注が増えた理由がわかれば営業戦略を作ることもできる。
厚生労働省は、非正規雇用の人たちが時間や場所を問わずリスキリングできるプログラムを試行的に始める予定だ。プログラムは民間の教育訓練機関に委託して開く。藤見さんは、非正規雇用の人たちへの支援策は喜ばしいとしつつ、こう話す。
「非正規雇用の方がリスキリングをしようと思ったら、通勤時間や隙間時間にeラーニングを視聴、あるいは月収を減らしてまでも休暇を取って、リスキリングをしなければならないなどの課題があり、その支援も検討していく必要があります」
(編集部・井上有紀子)
※AERA 2023年11月27日号より抜粋