松井裕樹は、「最多セーブ」に3度輝き、通算236セーブを挙げている28歳左腕。今年のWBCで、メジャー球への対応に苦しんでいた。革の質がしっとりしているNPB球に対し、メジャー球はツルツルで滑りやすい。また縫い目のヤマが高く、重量もやや重い。さらにメジャーのマウンドも硬い。このあたりが松井にとってクリアすべき課題である。日本人メジャー投手でストッパーとして実績を残したのは、佐々木、上原、斎藤だけなのだ。

【4】NPB最多勝投手にも厳しい現実。通算70勝の上沢直之は?

 かつて最多勝のタイトルを獲得した投手では、川上憲伸(中日→09年ブレーブス)がメジャー2年間で計8勝。山口俊(巨人→20年ブルージェイズ)はメジャー1年間で2勝。有原航平(日本ハム→21年レンジャーズ)はメジャー2年間で計3勝に終わっている。

川上憲伸 写真=APアフロ
野茂英雄

 そのほか、吉井理人(ヤクルト→98年メッツほか)はNPB3年連続2ケタ勝利で渡米し、メジャー5年間で計32勝。木田優夫(オリックス→99年タイガースほか)はNPB21年間通算73勝だが、メジャー5年間でわずか計1勝。小宮山悟(横浜→02年メッツ)はNPB18年間通算117勝だが、メジャー1年間で0勝。

 上沢直之はNPB12年間で通算70勝。憧れだけでは通用しない厳しい現実。メジャーでの活躍を期待する。

(新條雅紀)

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