「若手選手が育ち始めたところで原監督が退任。生え抜き選手の育成に本気で取り組むのが遅かったことが証明されてしまった」(在京球団編成担当)

 対する阪神は以前から若手育成に取り組んでおり、岡田彰布監督就任と時期を合わせるように結果が出た形。野手は近本光司(29歳)、中野拓夢(27歳)、大山悠輔(28歳)、佐藤輝明(24歳)、木浪聖也(29歳)、投手では伊藤将司(27歳)、村上頌樹(25歳)をはじめ20代の選手が順調に育ち一軍に定着している。

「編成部の一貫性のなさが阪神との差になって現れた。しかし巨人も少しずつ若手が出てきているので数年後には追い付き、追い越して欲しいとは思う」(巨人OB)

 若手育成はもちろん、FAで従来通りの補強をできなくなったことも巨人が勢いを失った原因となった。自前で選手を育てた阪神とは対照的だ。

「巨人では少しでも結果がでないと外から来た選手への風向きが強くなり、試合から外されるケースも多い。伸び伸びと楽しくプレーしたい選手が増えている。自ら巨人を選び周囲に気を遣って窮屈にプレーしたい選手は少なくなった」(在京テレビ局スポーツ担当)

「今の選手は現実主義でメジャーへの憧れはあっても国内球団はどこも同じと考えている。また条件面で言えばソフトバンクなど、多額のお金を提示する球団も増えるなど、時代は大きく変化している」(巨人担当記者)

 巨人が阪神と比べ“劣勢”になっていると感じるところは他にもある。

「試合以外の部分でも遅れをとっているように感じる。35年前にできた東京ドームは古臭い球場になってしまい、100億円をかけたという大型改修もビジョン設置やVIPスペースなど小手先でしかしない。自前球場ではないので難しい部分もあるが、エスコンフィールド北海道やマツダスタジアムに比べ時代遅れ感は明白」(在京テレビ局スポーツ担当)

 一方、阪神は伝統ある本拠地を上手くアップデートしている。2007年から本拠地の甲子園球場を段階的に改修、今も球場周辺のリノベーションの真っ最中だ。ファンにとって楽しめるだけでなくクラブハウスや室内練習場など選手のプレー環境も格段に進歩している。

次のページ 巨人は近いうちに巻き返せるのか