前出の若宮さんは、食中毒対策の3原則「つけない」「増やさない」「やっつける」を強調する。
「買い物の際、肉は個装ごとポリ袋に入れ、生で食べる食材に肉汁がつかないようにしましょう。冷蔵庫に入れる際も肉は袋に入れたままで。肉や魚と、生食する食材で調理器具は分け、キッチンのタオルは1食ごとに交換することが望ましい。タオルが菌の温床になってしまえば、調理の際に手を洗っても、タオルを介して菌が手につくことになります」
だが、1食ごとのタオル交換とは、実践するにはなかなかシビアそうだ。
「私の料理教室ではペーパータオルの使用を推奨しています。常備菜を作る際は、保存容器はアルコール消毒をし、冷蔵庫で保存し3日以内に消費、食べるときはその都度温めることも徹底しましょう」(若宮さん)
万が一、食中毒らしき症状が表れたら、どう対処すればいいのか。東京・森下のイシハラクリニック副院長、石原新菜さんは次を挙げる。
・下痢や嘔吐があった場合、下痢止めや吐き気止めなどを服用しない。菌の排出も止めてしまう。
・嘔吐がやまず、摂取した水分も吐き出してしまう場合、脱水症状を起こす恐れがある。医療機関を受診する。
・子どもは成人より脱水症状に陥りやすい。下痢、嘔吐が出たら、速やかに病院へ。
「食中毒の菌によっては、抗生剤が効くものもあり、薬が処方されることもあります。その際、どういった菌で起こっているかを医師側が知るために、症状が出始める前、1週間分くらいの食事について、伝えられるといい」(石原さん)
なお、家族に食中毒が出たときは、家族間に感染が広がらないように、手袋、マスクをつけて対処したい。消毒の仕方などは、厚労省のホームページなどで紹介されている。(ライター 羽根田真智)