「面談の際によく聞くのは、『後のしわ寄せが怖いから』という理由です。自分一人で片付けられる事務処理などはいいのですが、他の人も関係する打ち合わせや客先への訪問などは、変更するために各所に連絡を入れ、調整しないといけません。前もってブロックしようとしていてもミーティングや会議を頼まれてしまうと断れないという人も多いです。企業は有休取得を推進していますが、それを実現するためには、管理職がしっかり方針を示して現場レベルで社員同士が協力できる体制が確立されていることが必要です」と話す。
ほかには、「休暇中にすることがない」「週末でも休まらない」という理由で有休を取得しない人もいるという。これについては、3連休の休暇取得を推奨している。
「連日の仕事で疲れていても、週休2日だとうまくオンオフの切り替えができないことも。1日目は疲れが溜まっているせいで気づけば何もせずに1日が終わってしまう、2日目は翌日の仕事が気になってしまい、気持ちが休まらないといった具合です。解決方法の一つとしては、金曜日か月曜日に1日有給をとって3連休にしてみることをおすすめしています。すると、中日が発生するので真ん中の2日目にやっと諸々のことから距離を置き一息つけるようになります」
疲労がたまっている場合は、状況が許せば3連休をとる。それでも疲労や体調に回復の兆しがない場合は、産業医やかかりつけ医に相談してみる、という流れがいいと続ける。
また、急な体調不良は誰にでも起こりえる。せき・熱・鼻水・腹痛などの症状は、疲労の蓄積・感染症などの兆候である可能性が高いので、体調に異変を感じたら自分の体からの「休め」というサインだと思って無理せず療養休暇をとることを勧めている。自分がしんどいと感じるときや、他の人にうつすような病気の可能性があるときは積極的に休んでほしい。出勤か病欠かの判断基準がわからない人は、発熱に関してはコロナ禍でも話題となった発熱時の定義である37.5度をボーダーラインのひとつにするといいそう。
ただし、体調不良による休暇がコンスタントに1カ月の中で3~5日発生する場合は、その時々の臨時的な対処だけでなく、自身の健康状態や公私含めた生活を振り返ってほしい。毎月療養休暇をとらなくても働けるような体調改善に努めてほしいとも石井医師は言う。