話は数年前にさかのぼる。区の図書館や保育園、児童館などが老朽化で建て替えられることになり、仮施設が必要になった際、建設地として白羽の矢が立ったのが、日テレが所有するこの四番町の土地だった。関係者は「ほかに適当な土地がなかったので、区は日テレとどんどん話を進めた」と話す。

 問題は、区の認可保育所と児童館の仮施設が建てられた約1400平方メートルのこの土地賃料が無償だったことだ。日テレサイドとしては、公益に供した土地として固定資産税の減免対象となるため、税負担を軽減できるメリットもある。

 小枝寿美子区議によると、区議会は2016年度予算案を保育園と児童館の借地料1925万円(3カ月分)を含め議決。ところが議決後ほどなくして「いきなり契約書で無償になっていた」(小枝区議)。

 区議会の議事録によると、前出の小林区議は16年10月の委員会で、使用貸借は賃貸借と違い、この契約を「無償の契約」にあたると指摘。通常は親子など密接な関係がある場合の契約のため、「日テレさんとは親子、兄弟のような密接な関係にあるのですか」と質問している。当時の区子ども部長は親子のような関係でないとし、有償でと伝えたが、日テレの強い意思があり、「地域貢献と申しましょうか、日本テレビさんの厚意ということで、ありがたくお受けさせていただいた」と説明した。

 さらに小林区議は日テレが遊休地、更地を遊ばせず、区に貸すことで税負担を逃れているようにみえると指摘している。

 小枝区議もこの委員会で「ただより高いものはない」「年間その分、寄付を受けていることになる」とただし、「寄付」の額よりも「大きなデメリットを生むのではないか」と懸念を示した。

 そもそも土地賃料を支払うとすればどれくらいになるのか。

 昨年9月の区の委員会で、区子ども施設課長は借地料を「年間で1億数千万円程度」と試算している。保育所や児童館の新設まではまだ時間がかかると見られ、年額1億数千万円相当の無償提供が続けば、総額は10億円単位になる。これが高層ビルの高さ制限の緩和の決定を左右したのではないかと守る会側は主張しているのだ。

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