紀平が所属するカナダ・トロントにあるクリケットクラブは、名伯楽ブライアン・オーサーコーチを中心とする充実した指導陣と恵まれた環境を誇る名門だ。さまざまなスケーターがスケートを磨くクリケットクラブで、紀平もいい刺激を受けている。
8月下旬、ボーヤン・ジン(中国)がインスタグラムにアップしたクリケットクラブのリンクで4回転ルッツを決める動画に、紀平は“いいね”をしている。昨季は病気や怪我に苦しんだボーヤンの復調ぶりに励まされている紀平の心情がうかがえる。
今季全休は、五輪へ向かう4年間の過ごし方を熟知しているオーサーコーチと紀平が話し合って出した結論でもある。これは想像の域を出ないが、おそらく試合を前にすると無理をしがちな昨季の紀平を見ていたオーサーコーチの意向もあったのではないだろうか。
今季のスケートカナダ欠場を発表したリリースで、紀平は2026年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪への強い思いを示している。
「目指すは2026年ミラノオリンピック。これからも引き続き応援、見守っていただけると嬉しいです」(日本スケート連盟X[旧ツイッター]より)
五輪の舞台で会心の滑りをみせるため、今季の紀平はトロントで治療とトレーニングの日々を送る。(文・沢田聡子)
沢田聡子/1972年、埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。シンクロナイズドスイミング、アイスホッケー、フィギュアスケート、ヨガ等を取材して雑誌やウェブに寄稿している。「SATOKO’s arena」