天龍源一郎(てんりゅう・げんいちろう)/1950年、福井県生まれ(撮影/写真部・掛祥葉子)
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「環軸椎亜脱臼(かんじくつい・あだっきゅう)に伴う脊髄症・脊柱管狭窄症」と「敗血症性ショック」で長らく入院生活を続けていた天龍源一郎さん。先日、ようやく退院を果たし、自宅療養中だ。今回は“ケガ”について語ってもらいました。

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 力士のケガといえば、膝が悪くなると思うかもしれないけど、力士は四股をしっかりやっているから、意外に膝は丈夫なんだ。相撲時代に多かったケガといえば突き指だね。

 突っ張ったり、まわしを取ったりするときにグッと押し込まれたりして、しょっちゅう突き指をするから、力士は人差し指と中指をテーピングでくっつけて、突き指や脱臼を予防しているんだ。取り組み中でも稽古中でも、突き指はしょっちゅうだった。

 相撲でのケガで俺が忘れられないのは、ボクシングのフックのような張り手で“フックの花”と呼ばれた福の花との取り組みでのことだ。

 そのときは、強烈な張り手を食らって脳震盪を起こして膝からガクっと落ちたときに、足首を捻挫してしまった。張り手が強烈で、負けたことも気づかないどころか、相撲を取った記憶も無くなるくらいの一発だった。福の花には一度も勝っていないし、苦手だったなぁ。

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