がんと告知され、「頭が真っ白になって先生の話が入ってこない」「どうすればいいかわからない」と、混乱し不安を抱く人は多いでしょう。できるだけ冷静に、これから始まるがんの治療について考えるためには、自分がどのようながんで、どのぐらい進行しているか、どんな治療の選択肢があるかを正しく知ることが大切です。そのために、まず必要なのが、医師の話をしっかり理解すること。本企画では、がんと診断された人が知っておくと役に立つキーワードについて、医師に解説してもらいました。全4回の1回目です。
【病院ランキング】ロボット手術数全国1~15位はこちら(全9疾患)
* * *
今回解説するキーワードは、「標準治療」「ガイドライン」「がん相談支援センター」です。
キーワード【標準治療】
現在、保険診療でおこなうことができる最良の治療。効果や安全性が研究により科学的に証明されており、多くの患者に推奨される治療。がんごとに診療ガイドラインによって定められ、より優れた治療法が証明されるとアップデートされる。
標準治療というと、一般的に広くおこなわれている標準的な治療、いわゆる「並(ふつう)の治療」と受け取りがちですが、がんの標準治療とは、「その時点で、科学的な方法によって有効・安全であることが確認されていて、多くの人にすすめられる最善・最良の治療」という意味で使われます。
「その時点で」というのがポイントで、医療の進歩により、さらに優れた治療法が生まれ、同じように科学的な根拠に基づいて、現在の標準治療より優れていることが証明されれば、その新たな治療が標準治療となります。つまり、標準治療は、時代とともに変化するもの。国立がん研究センターがん対策情報センター本部、副本部長の若尾文彦医師はこう話します。