「がんの治療で最優先すべきは、がんを治すこと。ただ、せっかく命が助かっても患者さんが『こんなはずではなかった』と思ってしまっては本末転倒ですので、納得して治療法を決めるということはとても大切なことです」(若尾医師)

キーワード【ガイドライン】

科学的な根拠に基づいて推奨される治療法などを提示する文書、「診療ガイドライン」のこと。関係する専門学会などが多くの文献をもとに作成し、診療の場で医師が患者に治療法を提示する際の判断材料の一つになる。

 医療で使われるガイドラインは、患者と医療者をサポートすることを目的に作成された文書で、治療法を選択する際などに判断材料の一つにできるものです。

「ただ、『これが絶対!』というバイブルではなく、あくまで『こういう状態の患者さんでは、こういう治療法が良いとされる根拠がありますよ』ということを示すもので、それを使って医師と患者さんが話し合うための材料のひとつと考えましょう」(若尾医師)

 治療選択の際に、ガイドラインとあわせて重要な役割を果たすのが「取扱い規約」という文書です。これはがんの種類ごとに、ステージ(病期)、つまりがんの進行度を決めるルールを定めたもの。病期はがんの大きさや広がり、転移の有無や程度などによって決められ、ガイドラインでは、病期によって推奨される治療法を記載しています。ひと言で「がんの治療」といっても、がんの種類やがん細胞の性質、病期などによって大きく異なるため、患者が治療法を考えるとき、自分のがんがどのような種類で、どのぐらい進んでいるかを知ることはとても大事です。

 もともとは医療者向けに作成されたガイドラインですが、乳がんや胃がん、大腸がん、肺がん、子宮がん、卵巣がんなどは、患者向けのガイドラインやガイドブックも作成されているため、参考にするといいでしょう。

キーワード【がん相談支援センター】

全国のがん診療連携拠点病院や地域がん診療病院などに設置されている、がんに関わる無料の相談窓口。診断前から治療後までいつでも、誰でも利用でき、看護師や医療ソーシャルワーカーなどが相談に応じる。相談は匿名でも可能。

次のページ
ポイントは、「誰でも、いつでも、無料で相談できること」