11月下旬から順次開業する麻布台ヒルズ。日本一の高さの高層ビルがそびえる「都市の中の都市」だ(撮影/写真映像部・上田泰世)
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「100年に一度」と言われる再開発ラッシュの国際都市・東京。港区では今月、「麻布台ヒルズ」が開業する。虎ノ門・麻布台エリアは今度どうなるのか。AERA 2023年11月13日号より。

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 東京の各地で「100年に一度」と言われる再開発ラッシュが進行している。11月には港区に日本で最も高い330メートルの超高層ビルを含む「麻布台ヒルズ」が開業。渋谷駅周辺では複合施設「渋谷サクラステージ」が完成する。ほかにも、都心6区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区、文京区)を中心に大規模再開発が目白押しだ。成熟期にある国際都市にふさわしい首都・東京の姿はどうなるのか。

「都心の各エリアでコンパクトシティ化が進む」と指摘するのは不動産調査を行う「東京カンテイ」市場調査部の井出武・上席主任研究員だ。

コンパクトシティ化へ

 コンパクトシティは住まいや交通インフラ、商業施設などの生活機能を市街地に集約するサスティナブルな都市政策として知られる。公共サービスの効率化など行政コストの削減を図るメリットがあり、人口減少や高齢化に伴う課題を克服する「地方再生」の文脈で取り上げられることが多い。それが、地方よりも東京の都心の再開発で進展しつつある、と井出さんは言う。

「都心に職・住・遊の環境を集約するトレンドです。コンパクトシティの発想自体、経済合理性の追求という考え方が背景にあることを踏まえれば、開発のポテンシャルが高く、資本が集中投下されやすい東京の都心エリアで顕在化するのは必然と言えます」

 たしかに、都心の一等地に立つ超高級マンションの増加に伴って、「都心に住む」というフレーズをよく聞くようになった。

「コロナ禍以降の在宅勤務の増加など働き方の変化による影響もあり、オフィステナントに偏ると供給過剰のリスクが高いというディベロッパー側の判断もあると思いますが、それ以前から、『定住人口を確保してこそ都市の魅力を確立できる』という認識がまちづくりにかかわる人たちの間で定着するようになったことが大きいと思います」(井出さん)

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渡辺豪

渡辺豪

ニュース週刊誌『AERA』記者。毎日新聞、沖縄タイムス記者を経てフリー。著書に『「アメとムチ」の構図~普天間移設の内幕~』(第14回平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞)、『波よ鎮まれ~尖閣への視座~』(第13回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞)など。毎日新聞で「沖縄論壇時評」を連載中(2017年~)。沖縄論考サイトOKIRON/オキロンのコア・エディター。沖縄以外のことも幅広く取材・執筆します。

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