参院徳島・高知選挙区の補欠選挙で応援演説をする岸田首相(右)=10月14日、徳島市
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 所得減税への支持が広がらず、内閣支持率が急落した岸田政権。逆風の中でも、年内に衆議院解散に踏み切る見方もある。一体なぜなのか。AERA 2023年11月13日号より。

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 岸田文雄首相が減税の先に見据えているのは衆院の解散・総選挙だ。自民党幹部によると、経済対策を盛り込んだ補正予算案が11月下旬に提出され、可決、成立直後に解散に踏み切れば、12月17日や24日投開票の日程も可能だという。

 もっとも、自民党内では、この状況での解散は「無謀だ」という声が強まっている。内閣支持率は低迷し、自民党の支持率もじりじりと低下。10月22日に投開票された衆参の補欠選挙でも、参院の徳島・高知選挙区では自民党公認候補が野党系の元職に惨敗。衆院長崎4区では、自民党新顔が立憲民主党の前職に猛追された。山田太郎・文部科学政務官が、女性問題が発覚して辞任。柿沢未途・法務副大臣が地元の東京都江東区長選の候補者に有料ネット広告利用を提案したとして辞任という不祥事が相次ぎ、政権への逆風が続いている。

 自民党本部の情勢調査では、いま総選挙となったら現有の263議席から40議席ほど減らすという情報もある。与党の公明党も、大阪府や兵庫県の現職に維新が対抗馬を擁立することから苦戦が予想されている。

 与党惨敗なら岸田首相の退陣は避けられない。岸田首相が率いる自民党宏池会からも「イスラエル・ハマス戦争で国際情勢も不安定になっている。解散は急がずに、年明けの通常国会以降、9月の自民党総裁選までのタイミングで考えればよいのではないか」(閣僚経験者)といった意見が出始めている。

 それでも岸田首相が年内解散をあきらめないのはなぜか。

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