「ハロウィーン目的で来ないで」と呼びかけがあった渋谷=東京・渋谷

 路上飲酒などのマナー違反や雑踏事故を警戒し、「渋谷はハロウィーンイベントの会場ではない」「ハロウィーン目的で来ないで」と、区長が異例の呼びかけをした東京・渋谷区。ハロウィーン本番を迎えた10月31日は、どんな夜になったのか。記者が渋谷や新宿の街を歩いた。

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 東京・渋谷のJR渋谷駅。人が集まるハチ公の銅像の周辺はシートで囲まれ、スクランブル交差点付近には多数の警察官が配置された。雑踏事故をふせぐため、センター街の通りの中央には柵が設けられ、人の流れが一方通行になるように規制された。

 渋谷の街は、例年とは異なる物々しい雰囲気になった。
 

渋谷の宮益坂周辺。仮装した人の姿は多くない=東京・渋谷

 31日夕、渋谷駅東側にある宮益坂交差点。人気アニメ「ポケットモンスター」のキャラクター、白いワンピース姿で長い髪を前に下ろしたホラー映画の登場人物など、さまざまな姿に仮装した人たちが行き交っていた。

 しかし、そのような姿の人は、2割ほどしかいなかった。

 人気漫画「呪術廻戦」のキャラクター・五条悟のコスプレをしていた江東区の男子大学生は「コロナ前より、仮装する人は少ない気がする」。渋谷区からの「来ないで」という呼びかけを、詳しくは知らなかったという。

 渋谷駅付近で飲食店を営んでいるという30代の男性は、

「コロナ前より人が少ない。いつもハロウィーンは店内が人でいっぱいだったのに」

 と肩を落とす。センター街にも系列店があるが、客の入りは低調だという。

 駅周辺は各所で一方通行しかできないように規制されていた。「なんでだよ!融通が効かねえな!」と警察官にからむ人の姿もあった。

 そんな街の様子に、千葉県から来たという18歳の男子学生は、

「もう帰ります。こんなにうるさいとは思わなかった」

 と、疲労感をあらわにしていた。
 

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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