またこの年は、上述したミズノクラシックに加え、全英リコー女子オープン、ADT選手権と米女子ツアーで3勝すると、2009年からは米女子ツアーを主戦場とし、この年3勝して新人賞とマネークイーンの座を獲得。2010年はエビアン・マスターズで勝利すると、2度目のミズノクラシック制覇を果たした。
そして、2014年からは主戦場を日本に移すと、この年4勝。この後は2015年3勝、2016年3勝、2017年2勝、2018年4勝、2019年3勝、2020-21年4勝と、ツアーの中心には常に申がいたということになる。
申の日米ツアー通算勝利数は39回を数える。また、韓国女子ツアーでも通算20勝を記録。こうして長きにわたりトップレベルのプレーを維持している申だが、どこにその強さの秘訣があるのだろうか?
申はご存じの通り決して体格に恵まれているわけではなく身長は155cm。最近の女子プロの中ではむしろ小柄な部類に入るだろう。ドライバーの飛距離についても、今季は平均238.17ヤード。神谷そら、穴井詩など250ヤード超えのプロが増えてきた昨今のツアーにおいては、飛ばない部類に入る。
ところが、申のショットの正確性とショートゲームは不利になっているパワーをカバーして余りあるものがあるのだ。特にショートゲームは“引き出し”が多く、2017年と2019年には、リカバリー率(パーオンしないホールでパーかそれより良いスコアをマークする)で1位を獲得。この部門は、2014年以降、毎年トップ10をキープ(2023年はここまで6位)しており、安定した成績を残し続ける要因の一つとなっている。
さらに2017年は、これだけに止まらず、平均パット(パーオンホール)、平均バーディ数、パーブレーク率、バウンスバック率でもトップとなり、スコアメイクだけでなく、攻撃的なプレーでもツアーを牽引。どこを取っても弱点のないゴルフで、ファンを魅了し続けているのだ。