東山紀之新社長は被害者の会の一部メンバーと携帯番号を交換し、「今度、飲みに行こう」と誘われていたという(撮影/写真映像部・東川哲也)

会の代表は「残念なことではない」

 退会した者同士で連絡は取っているのだろうか。

「取っていません。一人一人目指すものがそれぞれあると思うし、私とは違うかもしれない。だけど、機会があれば連絡をとって、何かやっていければとも思います。当事者の会とは別の塊として、会になるか委員会になるかはわからないですが、もし何かできた時には発表させていただきたいと思います」(志賀氏)

 一方、「当事者の会」に残る側は何を思うのか。

 会の発起人の一人である平本淳也代表は35年前にジャニー氏からの性被害を告発。平本氏が国連に手紙を出したことから、国連人権理事会「ビジネスと人権」作業部会が来日し、ヒアリングが始まった。旧ジャニーズ事務所の1回目の会見の際には「当事者の会」も記者会見を開き、他の人権団体とも協力関係を築くなど、会を牽引してきた。

 5人のメンバーが退会したのは残念ではないかと質問すると、こう短くコメントした。

「全然、残念なことではありませんよ。それぞれの思いを遂げるため、気持ちよく送り出しました」

 会の分裂騒動は、日本における性被害者救済の難しさを物語っている。

(AERA dot.編集部・上田耕司)

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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