被害者の会との面談の際もジュリー氏は涙を流していたという(撮影/写真映像部・東川哲也)

「新会社の利益をまわせ」は言い過ぎ

 その面談中、大島氏を大きく落胆させる出来事があった。

「代表は旧ジャニーズ事務所の後継会社のSMILE-UP.に『雇ってほしい』と言っていたんです。被害者認定に協力して、本当に被害を名乗り出た人が在籍していたかの確認に協力するということらしいですが、もし雇われたら、SMILE-UP.から給料が出るわけで、それ以上は何も攻めることができなくなります。まだ全容は解明されていないんですよ。給料をもらって、黙っているわけにはいかない。この人たちとはちょっと方向性が違うなと思ったので、抜けさせてもらったんです」(大島氏)

 当事者の会はジャニーズ事務所の社名変更の前日である16日、最後の要望書をホームページ上にアップした。そこには、「当事者の会が推奨する複数名を、救済・補償会社となるSMILE-UP.と、被害者救済委員会に取り入れ、当事者の双方が共に事実究明と対話救済の働きを、公正さを持って取り組むことを要望するもです」とある。

 また、エージェント契約を結ぶ新会社についても、当事者の会は「新設されるエージェント会社の利益について、被害者への補償及び救済への充当、ならびに慈善団体への寄付を実施するように求めます」と要望した。

「新会社の利益をまわせとか、それは今の段階では言い過ぎです。そもそも、こちらが言うことじゃないですし。ただ、当事者の会が決めたことですし、あまり悪く言いたくない。私はすでに退会したので、もう関係ないと思っています」(大島氏)

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