二つの表で紹介したように、保有額や資産に占める割合が高いところほど、今後も削減が進む可能性が高いと言えるかもしれない。ただ、鈴木さんが指摘するように、それぞれの企業の経営戦略しだいで、持ち続けるという選択肢もある。
鈴木さんによれば、バブル崩壊後に増えた持ち合い株を手放す動きは2000年代にピークを過ぎたものの、なお一定の水準を維持するという。22年度は東証株価指数(TOPIX)採用銘柄全体で約3.2兆円に上った(外国株を含む)。同年度は株価が上昇した影響もあり、前の年度(21年度)よりもその額は膨らんだ。
では、こうした企業の動向を探る上で気をつけたい点は何か。前出の鈴木さんは次のように言う。
「持ち合い解消の売りというと、いかにも前向きなイメージばかりに目が行きがちですが、株価の面では注意も必要です。持ち合い先も、その企業の株を手放すことになるのでネガティブな影響もあるからです。ですから、その企業が株を手放すことで得られた資金を、自社株買いや配当の引き上げなど、どう使うかを合わせてチェックする必要があります」
(AERA dot.編集部・池田正史)