上場企業が持つ「政策保有株」、いわゆる「持ち合い株」に改めてスポットが当たっている。企業に対し、資本効率やガバナンスの改善を求める圧力が強くなっているためだ。そこで主要企業の保有状況を調べてみた。
政策保有株は、純粋な投資ではなく、企業が取引先との関係を維持・強化したり、買収を防いだりするといった目的で持っている株式のこと。互いの株式を持ち合う形で保有するケースが多く、持ち合い株とも呼ばれる。
資本効率の改善などを求めて、東京証券取引所は15年に導入した企業統治指針(コーポレートガバナンス・コード)で、政策保有株を持つ目的や説明を義務づけた。金融庁も19年3月期の有価証券報告書から、保有する銘柄の内容をそれまでよりも詳しく開示するよう求めている。
今回、東海東京調査センターに協力してもらい、上場企業のうち時価総額や流動性が高い500銘柄の2023年3月時点の政策保有株の保有状況を調べた。
その結果、保有株が金額ベースで多い順にランキングしたのが下の表だ。
トップはトヨタ自動車で、保有額は2兆8078億円に上る。2位は三菱UFJフィナンシャルグループの2兆7137億円、3位はMS&ADインシュランスグループホールディングスの2兆3691億円、4位は三井住友フィナンシャルグループの2兆3155億円、5位は東京海上ホールディングスの2兆1432億円などが続いた。
上位にはメガバンクや主要地銀、大手損保、総合商社が目立つ。事業会社も1位のトヨタをはじめ、7位の京セラ、10位の豊田自動織機などがランク入りした。9社が保有額1兆円を超えている。