自民党総裁選の候補者討論会に臨む岸田文雄前政調会長(2021年9月18日、肩書きは当時)。このときは消費税について「10年程度は上げることは考えない」と明言したが…

 藤井教授がこう指摘する。

「消費減税が最大の経済対策だが、岸田首相は絶対にやらない。むしろ消費増税に向けて外堀を埋めてきている」

総裁選に勝てば消費増税の議論開始

 注視しているのは「基幹3税」(法人税、所得税、消費税)に対する増税の動きだ。岸田首相は昨年12月に防衛費を増額するための「防衛増税」を公表し、法人税・所得税などの増税を検討するとした。そして、今年10月には個人事業主らにとって事実上の増税となるインボイス制度を開始している。

 藤井教授は、

「インボイスでこれまで取れてこなかった個人事業主からの消費税を徴収し、法人税、所得税を引き上げるとなれば、次は本丸、消費税率を引き上げようということになる。また、経団連など財務省とかかわりの強い“周辺”から増税の声が出ているのも、増税の布石でしょう」

 との見方を示し、こう続ける。

「前回の総裁選で岸田首相は消費税について『10年程度は上げることは考えていない』などと発言しましたが、その後そのような発言をしていません。次の総裁選を勝つことができれば、消費増税の議論を開始するのではないかと見ています」

 コロナ禍を経て、次は“岸田禍”が続くとなれば、国民の我慢も臨界点に達しそうな雰囲気だ。果たして岸田政権はいつまでもつか。

(AERAdot.編集部・吉崎洋夫)

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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