実はこれまで法人税を減税する代わりに消費税が増税されてきた経緯がある。消費税は1989年に税率3%で導入され、その後、97年に5%、2014年に8%、19年には10%と上がってきた。他方で法人税は1984年に43.3%だったのが、2018年には23.2%と20ポイントも減少している。
減った法人税収と増えた消費税分はほぼ同じ
「消費税減税ニッポン復活論」の著書のある藤井聡教授はこう指摘する。
「法人税を下げたい経済界と、その代わりに消費税を上げたい財務省との思惑が一致して、消費税率が上がる一方で、法人税率を下げる政策が一貫して行われてきました。この30年以上で消費税で国民から吸い上げられたお金は、減った法人税収の累計とほぼ同じになっており、実態として法人税の穴埋めとして消費税が上げられてきました」
実は消費増税をすることで、大企業を利する側面がある。
経団連に名を連ねるような大企業の多くは、海外への輸出で利益を上げている。輸出企業が海外で商品を販売した場合、国内で支払った消費税については還付されるという「輸出還付金」という制度があるのだ。
消費税は最終消費者が負担する立て付けになっているが、輸出企業は海外の消費者から消費税を受け取ることができない。そのため、原材料の仕入れなどで支払われた消費税分を還付するという名目だ。
「実態として、海外で利益を上げているような大企業は、増税によるコストの増加分を下請けに値下げさせてきました。それにもかかわらず、大企業は輸出還付金を受けとることができます。増税をすればその額も増える仕組みになっています。つまり、増税によって大企業は潤い、苦しむのは下請けなどの中小企業、そして国民だということです」(藤井教授)