私「どこへ?」

神「街じゃないですか?」

私「なにしに?」

神「観光ですよ」

私「なに観るんです?」

神「その日は……やっぱりハロウィンじゃないですかね?」

私「神様が?」

神「……まぁ」

私「団体で?」

神「……ですね」

私「ハロウィンを観に? いつもの格好で? 布袋様とか、福禄寿とか、毘沙門天とか、弥勒菩薩とか、キリスト様とか……みんな揃ってハロウィンに!?」

神「……そうですよ」

私「それってハタから見たら、もろ仮装じゃないですか? バリバリハロウィンを楽しんでるじゃないですか!? いーんですか!? 神様たるものがハロウィンごときに踊らされてるように見えちゃいますよ!? マズくないですか、神様的にっ!!」

神「……みんなに言ってるんですけどね。事務局としても困るって、その格好はマズいって……でも『せっかくみんなで集まれる10月の、しかも最終日がハロウィンなんだからいっそのこと盛り上がろうぜっ!!』って……言って聞かないんですよ! 私だって弱ってるんです! なんなんですかねー、ハロウィンって! そんな楽しいモノなんですか?」

私「はぁ……なかなか大変ですね。事務局員さんも」

神「恐れ入ります……」

 ここまで書いてみて思ったことは、神も悪魔も本当にいるならば、島根県のハロウィンが最高に盛り上がるはず。神も悪魔も人間も入り乱れ、ちょっとした「デビルマン」の世界じゃないか。ところでこの事務局員は神か人間か、はたまた。続きはまた来年の「ハロウィン」のお題の時に。

春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/1978年、千葉県生まれ。落語家。2001年、日本大学芸術学部卒業後、春風亭一朝に入門。この連載をまとめたエッセー集の第1弾『いちのすけのまくら』(朝日文庫、850円)が絶賛発売中。ぜひ!

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