サッカー日本代表の森保一監督

 サッカー日本代表“森保ジャパン”の勢いが止まらない。10月13日、新潟でカナダ代表を4-1で粉砕し、国際Aマッチ5連勝を達成。その5試合で計22得点というのだから、いつの時代も指摘され続けてきた「決定力不足」が嘘のような快進撃だ。
 
 内容も称賛に値する。ベスト16で敗れたカタールW杯の後、名波浩、前田遼一両氏を新コーチに迎えて2023年にスタートした第2次政権。最初の3月シリーズは、ウルグイ(△1-1)、コロンビア(●0-1)と偽サイドバック戦術が機能せずにぎこちなさが大いに目についたが、6月シリーズでエルサルバドル(○6-0)、ペルー(○4-1)と大勝して自信を回復させると、欧州で行われた9月シリーズで大国ドイツ(○4-1)を下し、難敵トルコ(○4-2)も一蹴。そして、その“強さ”が偽物ではなかったことを、今回のカナダ戦でも証明した。
 
 ベストメンバーではなかった。三笘薫が辞退し、鎌田大地、堂安律も不選出。コンディション面に不安を抱える選手も多く、カナダ戦は1.5軍とも言えた。だが、それでも強かった。前線からの激しいプレッシングと奪ってからの素早い攻撃が意思統一された中、伊東純也が相変わらずの破壊力を示し、負傷交代が心配ではあるが中村敬斗も決定力の高さ披露。久々の代表復帰となった南野拓実もゴールこそなかったが攻撃を活性化させた。

【写真】サイドからドリブルの突破力といえばこの選手

 守備では冨安健洋がピンチをピンチと感じさせない能力の高さと安定感で立ち塞がり、毎晟矢も代表2試合目とは思えないプレーぶり。そして一部で代表選出に懐疑的な声が向けられていた浅野拓磨、田中碧の2人が、森保ジャパンでは不思議なほど輝けることを改めて見せつけた。

 チームとして最も優れている点は、「守」から「攻」への切り替えの速さだ。そこから選手個々のスピードと複数人が絡んだコンビネーションを掛け合わせ、相手に次々と襲いかかるような波状攻撃を繰り出している。同時に後方からのビルドアップの精度向上も見え、何度か「形」が見える場面もあった。

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