後半、ドリブルする南野拓実

 カタールW杯では「5バックなら守れる」ことは証明したが、ベスト8以上の“新しい景色”を見るためには「自分たちが主導権を握る」戦いが不可欠。決してボール支配率で上回る必要はないが、受け身ではなく常に重心を前に置き、鯉口を切った状態で、攻撃的な姿勢で戦う。それが次のW杯へ向けて森保ジャパンの「やりたいサッカー」ということになる。
 
 しかし、地に足をつける必要はある。現時点では、日本サッカー史上初のW杯後の監督続投が“良い方向”に出ており、チームの成熟度が他国よりも高いレベルにあることで、その差が結果に繋がっている。だが今後、時間の経過とともに他国の成熟度が上がれば、このアドバンテージは少なくなっていく。チームとしてのピークが早く、W杯時には失速してグループリーグ敗退となったザックジャパンの苦い経験もある。その教訓を生かしながら、チームを硬直化させることなく、常に新しい選手を抜擢しながら成長させていくマネジメント力が必要になってくる。
 
 ポジション的には、GKとCFが大きな課題だ。候補者は多くいるGKだが、やはりDFラインとの連携、チーム全体に与える安心感を考えると絶対的なGKが欲しい。そしてCFも候補者はいるが、エースと呼べるストライカーは不在。5人交代制の中で時間分担制も有効ではあるが、最後の最後、苦しい試合でゴールを決め切ることができる強烈なストライカーが欲しい。左右のサイドバックも徐々に選択肢が増えて来たが、まだ最適任者が見つかったとは言えず、偽サイドバックの有効性をさらに高めるならば、人選も変わってくるはず。充実の2列目に比べ、ボランチの選手層の薄さも気になるところだ。
 
 今後、17日のチュニジア戦を終えると、11月からW杯のアジア予選が始まり、年明け1月にはアジア杯が行われる。森保監督にとっては2011年以来3大会ぶりのアジア制覇は大いに目指すべき価値があるが、所属クラブのリーグ戦と丸かぶりの欧州組の選手たちにとっては難しい決断を強いられる。クラブ側が招集に難色を示すことは明らかで、ベストメンバーで大会には臨めないことが予想される。

ドリブルで切り込む伊東純也
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