NTTドコモはネット証券大手のマネックス証券を子会社化する。新しい少額投資非課税制度(NISA)を来年1月に控え、通信、証券いずれを巻き込んだ顧客の囲い込み競争が激しくなっている。
ドコモはマネックスグループと資本業務提携を結び、マネックスが新しく設立する中間持ち株会社に485億円を出資。この新会社の傘下にマネックス証券を置く予定だ。新会社、マネックス証券とも来年1月にドコモの子会社になる。
新しい資金が入ってくる
新NISAを控えて証券業界では投資家の獲得競争が起きている。ネット証券はSBI証券と楽天証券の2強体制が固まりつつあり、マネックス証券は売り上げや口座数で両社に水を空けられていた。証券ジャパン調査情報部の大谷正之部長が言う。
「業界内でも優勝劣敗が進みつつあります。新NISAが始まってみないと分からない部分もありますが、株式市場に新しい資金が入ってくるのは確実で、業界全体もそれなりに潤う。証券会社の実店舗数は年々減り、マネックスはその中で優位に立ちたいという考えがあったのでは」
ネット証券の2強、SBIと楽天は9月までに日本株の売買手数料ゼロ化を打ち出していた。顧客にとっては魅力的だが、手数料をゼロにした分はほかの儲けでカバーする必要がある。マネックスは2社の動きの後は追わず、ドコモとの提携で顧客層を広げる道を選んだ。
一方で、ドコモにとってマネックスとの提携は金融分野への足がかりになる。通信業界の動向に詳しいICT総研の斉藤詩門アナリストは言う。