「ドコモは大手携帯会社の中で唯一、グループ内に証券会社がなく、ライバルに出遅れていました。国内のスマホの普及率はピークに近く、今後大きな伸びは期待できない。そこで通信以外のサービスを強化してきました。マネックスの子会社化はその一環で、新NISAの開始を控えて顧客獲得競争が激しくなっているタイミングに合わせてきたでしょう」
どれだけ呼び込めるか
ドコモは決済サービス「d払い」のユーザー数が5千万人超、ポイントサービス「dポイント」の会員数が約9500万人の顧客基盤を持つ。これを証券サービスにどれだけ呼び込めるかが鍵になる。斉藤さんは続ける。
「ドコモを含めたNTTグループには長期的に米国のアルファベットやアップル、メタ、アマゾン・ドット・コムに匹敵するような『プラットフォーマー』を目指すという壮大な構想があります。その意味では『次の一手』も十分あり得る。この先、別の証券会社や銀行などと手を結ぶ可能性も小さくないでしょう」
ドコモとマネックスは、スマホ決済とのサービスの連携やポイントサービスの共有化を進め、次世代の金融商品を共同で開発するなどとしている。まずは新しいサービスが、投資家や消費者に受け入れられるかどうかが構想への試金石になりそうだ。
(AERAdot.編集部・池田正史)