霞が関の「つみたて投資応援団長」といえば藤丸敏氏(撮影/門間新弥)

「米国では1980年代に、確定給付型年金(DB)から確定拠出型年金(DC)に移行しました。

 DBは企業が責任を持つから、将来支払う年金を債務としてバランスシートに計上する必要がありますけど、個人が責任を持つDCだと負債計上は不要だから、企業に受け入れられたんです。

 その結果、米国ではDCを通じて継続的に株式市場へ資金が流入し、成長を続ける企業を後押しした。この仕組みは日本にも必要だ、と」

 つみたて投資の必要性を理解しても、日本には値下がり損を敬遠する雰囲気が米国以上に強い。1円でも損はしたくない––––。

株価が下がっても泣くなよ

 そういう人にはね、と藤丸副大臣はオリジナルの資料をめくった。

 日経平均株価がバブル期最高値をつけた翌月の1990年1月から、仮に毎月1万円ずつ日経225のインデックス型投資信託につみたて投資ができていた場合の試算結果が。

「2022年4月末時点で、つみたて総額388万円が695万円になってるでしょう。

 元本割れの時期もありますけどね。相場っていいときもあれば悪いときもある。

 つみたて投資をしている人は、株価が下がったからって泣くなよと言いたいんだな、私は」

 藤丸副大臣が何度も繰り返すのが「日本株も、買いを強くしたいんだ」。

 米国株は浮き沈みがあってもトレンドは右肩上がり。

「米国は毎月の給料からDCを経由して市場にお金が入ってくる。

 日本でもNISAとDCのお金が継続的に流入すれば、需要と供給の観点から株価が安定する」

 もっとも、株式市場に資金を誘導するだけでいいとは、藤丸副大臣は考えていない。

 目指すのは「右肩上がりの市場」の実現に向けた仕組み作りである。

「株価が多少下落しても、長期では右肩上がりのトレンドに戻っていく、日本経済は成長していくという前提にしなければダメです。

 DCとか公的年金がもう少し株式投資を増やせるようになる前提として、経済や株価のトレンドが右肩上がりになっていないと、運用側もリスクを取れない」

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