今季も野球界の話題を独占した大谷翔平選手。11月にはロサンゼルス・エンゼルスとの契約が切れる。米メディアで唯一の大谷番記者を務めた、『ルポ 大谷翔平』の著書もある在米ジャーナリストが見た米社会での大谷の姿とは。AERA 2023年10月16日号より。
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この冬、大谷翔平の去就が米野球界の話題を独占するのは間違いない。私もスポーツ好きのアメリカ人に会うたびに聞かれる。
エンゼルスとの契約が切れて、好きなチームと契約できるようになる「世界一の選手」が、どこを選ぶのか。メジャーの勢力図をも動かしかねない選択だ。
視聴率やビュー数を稼げることもあって、あらゆるスポーツメディアで専門家や記者が意見を述べている。前例のない二刀流選手であるがゆえに契約内容は予想しづらく、総額10億ドル(約1500億円)になるのではという臆測まで飛び出したほどだ。さすがに、それはないだろうが、メジャー史上最高額を塗り替える5億ドル以上は確実だろうと見られていた。
そんな中、再び肘を故障したという球界を震撼させるニュースが流れた。2018年に続く2度目の手術を受けた大谷は、打者としては来季開幕に間に合うと代理人が発表したが、投手としての復帰は25年になる予定だ。
1年間はマウンドに立てない、復帰しても以前のような投球はできない可能性もある、というリスクを考慮して、故障前よりは各球団が慎重になるのは間違いない。それでも契約は5億ドル規模にはなると予想する専門家は多い。スポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」のケン・ローゼンタール記者は、投手としての先行きは不透明でも、メジャー最高レベルの打撃力を考えれば最低でも5億ドルの価値はある、と記事で述べた(米時間8月24日配信)。
現地専門家の多くは、大谷がエンゼルスを去ると予想している。エンゼルスという球団やファンは好きだが、「それ以上に勝ちたいという気持ちの方が強い」と発言したからだ。