サヘル・ローズ/タレント・俳優・コメンテーター。イラン出身。8歳で来日。著書に『言葉の花束 困難を乗り切るための"自分育て"』(講談社)など(写真:本人提供)
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 読書の秋。テレビや映画、YouTubeなど主に映像系の分野で活躍する本好き3人がセレクトした、悩みに効き、人生を豊かにする本を紹介する。2人目はタレント・俳優・コメンテーターとして幅広く活躍するサヘル・ローズさん。AERA2023年10月9日号より。

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「私は自分の本当の生年月日や名前を知りません」

 舞台、映画、ラジオなど幅広く活動し、テレビ番組では笑顔を振りまくサヘル・ローズさんには壮絶な過去がある。イランで生まれたが、イラン・イラク戦争に巻き込まれ、4歳で孤児に。8歳で引き取られた養母によって出生年と名前を決められたという。サヘル・ローズとは「砂浜に咲くバラ」という意味。どんな場所でも力強く生きて、というメッセージが込められている。

「『いのちのおうち』は作者のりりぃさんが体験してきた実話をもとにした絵本ですが、共感しかなかったです。幼児期に愛を知らずに育ってしまうと、大人になるにつれて今がどんなに恵まれていても感情が欠けていることがわかるときがあるんです。愛し方、愛され方がわからなかったり、家族を持つことに不安を感じたり。人は普段そういうことを口にしませんが、作者は同じ傷を抱えている方々に向けて勇気を持ってさらけ出してくれました。絵のタッチもやさしく、偽りのない感情と飾らない本音が愛おしい絵本です」

 自身の経験から国内外の養護施設や難民キャンプに足を運ぶなど、子どもたちへの支援活動も行っているサヘルさん。しかし活動を続ける中ではずっと葛藤もあったといいます。

「手を差し伸べたいとは思っていても、自分でできることはほんのわずか。それを思うと無力感に襲われることがありました」

 そのような中で出会った本が『僕たちはヒーローになれなかった。』。

「はたから見るととても素晴らしい活動をしている方なのですが、そんな方でも幾度も壁にぶつかり、悩みながら前に進んでいることがわかりました。『失敗の中から成功の種を探して行動を続けるしかない』という言葉に勇気づけられました」

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