これまでに二桁勝利こそ一度もないが、2021年から3年連続で規定投球回数をクリアしており、昨年はシーズン与四球11という歴代最少記録をマークするなど、その制球力と試合を作る能力の高さはリーグでも屈指である。昨年は交流戦で先発した4試合全てで6回以上を投げて無失点。今年の交流戦でも勝ち星こそつかなかったもののいずれも好投しており、セ・リーグ球団相手に結果を残していることもプラス要因だ。FA市場に出てくるようになれば、ぜひとも狙いたい投手である。

 しかし松井と加藤は年俸的にも金銭と人的補償の両方が必要なランクの選手であることはネックとなる。巨人は過去にも人的補償で有望な若手選手や、実績のある長野久義が退団したこともあるだけに、Aランク、Bランクの選手を狙うことに反対の声が出ることも考えられる。そうなると俄然優先度が上がってくるのがともにCランクの山崎福也(オリックス)と石田健大(DeNA)の2人だ。

 山崎はこれまで一度も規定投球回数に到達したことはないが、年々安定感を増しており、今年は自身初の二桁勝利をマークしている。今年の交流戦でも3戦3勝とセ・リーグ相手にも強さを発揮した。また高校時代には3年春に出場したセンバツ高校野球で13安打の大会最多タイ記録をマークし、昨年の日本シリーズでもタイムリーを放つなど打撃が良いというのも指名打者制のないセ・リーグ向きである。

 また石田も過去に二桁勝利はなく、今年も4勝9敗と負け越したものの、6年ぶりにシーズン100イニング以上をクリアしており、貴重な先発の1人となっていた。通算37勝43敗ながら、防御率は3.47と決して悪い数字ではなく、リリーフとしての実績もある。昨年オフの契約更改では複数年契約を打診されながら断っており、そのことからも権利を行使して他球団の評価を聞きたい思いは強いと見られる。巨人にとってはライバルとなるDeNAの戦力ダウンに繋がることも考えると、最も大きい補強は石田の獲得なのかもしれない。

暮らしとモノ班 for promotion
2024年この本が読みたい!「本屋大賞」「芥川賞」「直木賞」
次のページ
二軍には期待の若手投手の存在も