大宮:勉強はスムーズにいったんですか。
松本:高校で東大対策もあるわけないし、塾にも行っていないから、自分で作戦を立てないといけないんですね。だから、高1の時、東大に合格するにはどうしたらいいか、「千日間のプラン」みたいなものを作って。
大宮:修業ですね、まさに。
松本:孤独な修業感がありましたね。
大宮:でも、プランはどうやって?
松本:赤本を買ってきて、3年後にこれを解けるようになればいいんだな、と。
大宮:どう、策を練ったんですか。
松本:授業は全部自習時間にしましたね。参考書を買って、今はこれをやる時期だと決めて。
大宮:その選定も難しいですね。
松本:違ったなと思えば、修正して。東大合格者の本も読んでました。孤独な戦いを戦い抜いて、あそこまでやらなくても合格したなって思うぐらい勉強しました。だから、東大に入って、こんなにもレールに乗ってきた人がいる場所なのかって驚きました。名門校に行って、自動的に東大を目指す世界もあるんだな、と。
大宮:山があったとして、名門校の生徒はすでに先輩が歩いた道があるけど、松本さんは自分で道を作りながら行ったわけですね。
松本:道は作ればいいんだって手応えを得られたのが、東大受験の一番の収穫だったのかもしれません。
※AERA 2023年10月9日号