作家・画家の大宮エリーさんの連載「東大ふたり同窓会」。東大卒を隠して生きてきたという大宮さんが、同窓生と語り合い、東大ってなんぼのもんかと考えます。17人目のゲストは僧侶の松本紹圭さんです。
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大宮:以前、インドに行かれていたっていうのは修行だったんですか?
松本:10年ちょっと前、インドのビジネススクールでMBAを取るために、1年住んでました。
大宮:なぜインドのビジネススクールにしたんですか。
松本:うん。インドが好きなんです。インドは面白い。
大宮:MBAをインドでってすごいなあ。東大では学部はどこでしたか。
松本:文IIIで入り、文学部の思想文化学科哲学専修課程に進みました。
大宮:在学中に、僧侶になろうと思ってたんですか。
松本:いやいや、思ってないですね。もともと哲学に興味があったんです。ただ、北海道の小樽の田舎出身なもので、東大法学部っていう、わかりやすい記号に憧れがちで、最初願書に「文I」って書いて。でも法律に興味はない。2本線を足して文IIIにしたんです。
大宮:哲学のどのジャンルが好きだったんですか。
松本:西洋哲学ですかね。ニーチェの「神は死んだ」っていうのが、なんかかっこいいなと。
大宮:死んだとか言って、まさか神に仕えるとはね。
松本:神じゃない、神仏(笑)。
大宮:そうだ! 神仏ですね。ところで、東大には現役で?
松本:現役です。小樽の中でも外れの、昔は塩谷村って言われてた漁村にいました。だから小さい頃は東大とか考えたことなかったです。当時、中学も荒れてて、本当に嫌でしたね。
大宮:ガラスが割れてるみたいな?
松本:そう。北海道なんだから割るなよ、と思うんですけど(笑)。
大宮:そうですよね、凍死しますね(笑)。
松本:高校は商業科とか水産科じゃなく、普通科に行こうと。で、入試の成績がたまたま1番だったんです。
大宮:すごい!
松本:東大に行く人が何年かに1人ぐらいいる高校だったので、1番ってことは東大に行けるかもしれないと思ったんですね。あと、北海道を出るんだという気持ちがあった。それには北大を超えないといけない。怒りのエネルギーがありました。