“元気の前借り”をするためにカフェインにしがみつくような使い方をし始めると、エナジードリンクの購入量が増えたり、より安価なカフェイン入り錠剤のほか、カフェインの含まれている鎮痛剤や頭痛薬、風邪薬の大量摂取につながったりする危険もある。子どもがカフェイン依存に陥るのを防ぐには、大人の目が必要だ。
親は何に気をつけるべき?
「いつも気だるそうにしている、あまりよく眠れていないように見える、カフェインが切れると落ち着きがなくなる、ネガティブなものの見方をすることが増えた。子どもにこうした言動が見られる場合は一度カフェインの取り過ぎを疑ってもいいかもしれません」
と松本医師は言う。だが、「何歳からカフェインを取っても問題ないか」について、日本には明確な基準がない。海外の例でいえば、カナダ保健省は年齢により1日のカフェイン摂取量を提言している。
また、松本医師は「イタリアでは『15歳以下の子どもにはエスプレッソを飲ませないほうがよい』と推奨されています。本来では体が成熟する18歳以下はカフェインの摂取を控えたほうがよいですが、受験生はそうもいかないでしょう。15歳を一つの目安にしてはいかがでしょうか」と助言する。
コーヒーやエナジードリング以外にも、お茶やコーラなどの清涼飲料水、チョコレート菓子にもカフェインは含まれている。高カカオチョコレート(板チョコ1枚分)はレギュラーコーヒー約1杯分に相当するため、過剰摂取には注意したい。
このほか、若者の間ではアルコールをエナジードリンクやカフェイン飲料で割った飲み物が人気だが、これは相互の依存性を高めるという。
「薬理学的にいえば、カフェインは覚醒剤と同じく気分を高揚させる『アッパー系』、アルコールは不安や緊張を軽減する『ダウナー系』に分類されます。反対の働きをする成分を取り入れることで感覚がまひし、飲み過ぎやけんか、暴力行為などが増える傾向にあります。彼らや彼女らに共通するのが、嫌なことを忘れようとしてハイペースで飲み過ぎること。背景にはカフェインに頼らざるを得ない心の葛藤が隠されており、やみくもにカフェインを禁止するのは得策ではありません」(同)