2023年6月28日付でセゾン投信を去った中野晴啓さんにインタビュー。現在、立ち上げ中の新会社の社名や構想を語った。アエラ増刊「AERA Money 2023秋冬号」より。
【写真】元セゾン投信中野晴啓さんの財布に入っていたクレジットカードはこちら!
昼食に注文したちょっとリッチなハンバーガーが届く前に、中野さんにいつものお願いをした。中野さんの財布を見せてください!
グッチの長財布。ブランド品だが、しわしわだった。
「5年くらい使っていますが、ほろ酔いで洗面台に落として水びたしになったこともあって(笑)。
お札を折らなくていいので、長財布を愛用しています。ボロボロになっても気にせず使い続けて、周囲から新調するよう促されてようやく新品を買う感じです」
財布に入っていた現金は約5万円。千円札が多かった。
「割り勘で1人8000円を僕が千円札で払えば、1万円札で払った人にお釣りが行き渡ります。習慣ですね」
カードは6枚入っていた。楽天、ビックカメラ、大丸、ルミネ、ダイナース、三菱地所。
中野さんの幼少期は「目立たない子でした」。父は会社員で母は専業主婦という、昭和のサラリーマン家庭。
明治大学商学部ではラケットボールのクラブを設立し、友人と汗を流した。ラケットボールとは壁に向かってボールを打つスポーツで、当時は人気だった。
「普通が一番だと教えられて育ちました。ただの小市民であることを前提に生きてきました」
就職先はセゾングループのクレディセゾンだ。
「入社3日目にセゾングループの西武抵当証券(現セゾンファンデックス)に配属されました。株式や投資信託(以下、投信)を売るのではなく、共同出資する第一勧業銀行(当時)などから調達した資金を自ら運用する仕事です」
これが、普通の人から「つみたて王子」への第一歩。中野さんは1990年代前半を振り返った。