負傷兵士らのための国際スポーツ大会「インビクタスゲーム」の閉会式に出席したサセックス公爵ヘンリー王子(中)とメーガンさん=ドイツ・デュッセルドルフ、2023年9月16日(写真:picture alliance/アフロ)

 長期にわたって確執が続くヘンリー王子英王室。チャールズ国王と9月17日に和解の会談をするとも報じられたが実現しなかった。英王室が徐々にヘンリー王子夫妻と距離を置き始めている。AERA 2023年10月2日号より。

【写真】「ほぼ末席」に通されたヘンリー王子とメーガン妃

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 9月17日は父と子の会談に絶好の日取りだったはずだ。ロイヤルはそれぞれのスケジュールに合わせて公務に励むが、チャールズ国王(74)とカミラ王妃(76)はその日、スコットランド・バルモラル城での避暑を終えてロンドンに帰っていた。9月20日からのフランス訪問まで2、3日ほど余裕があったのだ。

 一方、ヘンリー王子(39)は、ドイツ・デュッセルドルフでのインビクタスゲームの閉会式を16日に終えた。米カリフォルニア州に戻る前に、ロンドンに立ち寄ることは可能である。父と兄との長年の確執を解消させる、またとないチャンスだった。王室スタッフらが会談の詳細を詰めているとの話も出ていた。

誕生日のお祝いもなし

 ウィリアム皇太子(41)は、夏休みを子どもたちとサンドリンガム宮殿で過ごし16日にロンドンに戻り、18日にはニューヨークに飛ぶ予定だった。彼が創設したアースショット賞は、環境保護を目的にしていて、優れた解決策を提案した5人の受賞者には賞金が与えられる。今年11月の授賞式を前に皇太子は15組のファイナリストを発表した。今回は皇太子単独だが、シンガポールでの授賞式にはキャサリン皇太子妃(41)も同行する。ウィリアム皇太子も17日は時間が取れたのだ。しかし、話し合いの場が持たれたとのニュースは聞こえてこなかった。

 そもそも9月15日はヘンリー王子の39歳の誕生日だったが、英王室の公式SNSからも、ウィリアム皇太子夫妻のSNSからも、お祝いのメッセージは発表されなかった。王族は誕生日にはメッセージを送り合うのが慣例だが、昨年はエリザベス女王が9月8日に亡くなって、誕生日どころではなくなった。しかし、その前年までは形式的ではあっても、ヘンリー王子にもメーガンさんにも届けられた。しかし、今年は夫妻やまた子どもたちにもいっさいなかった。ウィリアム皇太子は、サンドリンガム宮殿に滞在していた15日に、通りかかった人から「今日はヘンリー王子の誕生日です。ご存じですか」と声をかけられた。皇太子は「ええ、知っています。忘れていません」と答えている。しかし、それだけだった。皇太子はかねてより、「もし和解があるとすれば、それはヘンリー王子の謝罪からだ」と話している。一方、ヘンリー王子は、「王室はメーガンに謝ってほしい」と繰り返す。

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多賀幹子

多賀幹子

お茶の水女子大学文教育学部卒業。東京都生まれ。企業広報誌の編集長を経てジャーナリストに。女性、教育、王室などをテーマに取材。執筆活動のほか、テレビ出演、講演活動などを行う。著書に『英国女王が伝授する70歳からの品格』『親たちの暴走』など

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