18年ぶりのセ・リーグ優勝を決め、祝勝会でビールをかけられる阪神の岡田監督
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 今季のMVP(最優秀選手)は阪神の岡田彰布監督がふさわしい? なぜなら、昨季は未勝利だった大竹耕太郎と村上頌樹で20勝上積みし、「内野総入れ替えコンバート」を断行した手腕だ。だが、そういうわけにもいかない。しかし、投手なら大竹、村上、岩崎優、はたまた野手なら大山悠輔、近本光司が活躍したが、いずれにせよ、「帯に短しタスキに長し」。過去、「優勝チーム以外からMVPが選出された」例を振り返ってみる。(記録は阪神が優勝を決めた9月14日まで)

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【1】野村の「思い」を打ち破ったセ・リーグ2人の「シーズン最多本塁打MVP」 

 1950年の2リーグ分立以降、2022年まで73年間。優勝チーム以外からMVPが選出された最初の選手は、63年(優勝西鉄=現・西武)の野村克也(南海=現・ソフトバンク)だった。50年にセ・リーグの小鶴誠(松竹=現・DeNA)が作ったシーズン51本を破る52本を放ったのだ。

 シーズン最終戦、最終4打席目。カウント3ボール0ストライクから外角低めにボール気味の投球。相手バッテリーは歩かせようとしたのだ。バット一閃。低い弾道で打球は左中間の最前列に飛び込んだ。野村は述懐した。

「生涯唯一、狙って打った本塁打。以後10年ぐらいは破られまい。ワシの現役時代の最大の思い出は、65年の三冠王ではなく、苦労して打ったあの52本だ。なのに……」

 あろうことか翌64年、王貞治(巨人)が55本を放つのである。優勝は阪神。「最多勝」29勝のジーン・バッキーをさしおいて、王がMVPに選ばれた。

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