沢村賞、MVPと新人王の受賞も決め、笑顔で記者会見する近鉄の野茂

【4】優勝チームながら、「MVPを逃した」タイトルホルダー

 ちなみにMVPを逃した05年優勝のロッテの好成績選手は、李承燁が打率.260、30本塁打82打点、西岡剛が41個で「盗塁王」。渡辺俊介が15勝4敗、小林雅英が29個で「最多セーブ」。

 同じく08年優勝の西武は片岡易之が「シーズン最多安打」(167安打)と50個で「盗塁王」。

 中村剛也が46本で「本塁打王」ながら、打率.244。タイトルホルダーがいてもMVPは岩隈だった。いかに「貯金17」のインパクトが強かったか。

 14年優勝のソフトバンクはデニス・サファテが37セーブ。柳田悠岐が全144試合、打率.317、15本塁打70打点。中村晃が「シーズン最多安打」(176安打)で打率.308。これらを見ると「1冠では厳しい」。やはり「帯に短しタスキに長し」であった。

 今季、阪神は優勝した9月14日まで、大竹が10勝2敗(2位広島に5勝0敗)、村上が10勝5敗で「防御率1位」。

 岡田監督の「四球は安打1本と同じ価値がある」を体現した大山は、タイトルではないが、リーグ最多の88四球。だが、打率.280、14本塁打67打点と平凡な数字だ。近本は「26盗塁でトップ」を走るが、打率.290。強いて言うなら「1位タイ32セーブ」の岩崎か? 思えば惜しくもV逸の21年ロベルト・スアレス(阪神)の「最多セーブ」42個はすごかった。

 その他、岡本和真巨人)の「本塁打王」、牧秀悟(DeNA)の「打点王」、宮埼敏郎(DeNA)の「首位打者」、東克樹(DeNA)の「最多勝」のタイトルは確実だろう。

こうなったら、いっそのこと新人王のように「MVP該当者なし」も、あり(?)。

(新條雅紀)