
抜け殻方式とは――。
「要するに、“ロンダリング”なんですよ。抜け殻方式にすれば新会社は当事者ではなくなる。タレントは全員、新会社に移籍してしまうし、法的な損害賠償責任はないわけです。残された旧会社のジャニーズ事務所には補償する原資もないし、新たな収入も入ってこないから、被害者から法的手段に訴えられても破産宣告し、解散して終わり、ということも可能なわけです」
9月17日のジャニーズ側の会見では、東山紀之氏(56)が代表取締役に就任し、ジュリー氏は社長を引責辞任はするものの、被害者への補償や心のケアに専念して取り組むために「代表取締役」にとどまると明らかにした。
ただ、それは巨額の相続税を逃れるために「事業継承税制」を活用する目的だったのではないか、とも週刊文春で報じられた。
年間1千億円の売り上げのジャニーズがなぜクリアできた?
その点について南村氏は、
「そもそも、この『事業継承税制』という考え方は、戦後、農業を守るために税金を優遇しましょう、という発想から生まれたものです。制度化され、中小企業に適用されましたが、要件が非常に厳しく、全国で約400万社ある中小企業の中で要件を満たしているのは約1万社です」
と前置きした上で、
「それだけ要件が厳しいのに、売り上げが年間約1千億円もあり、巨大な資産を持つジャニーズ事務所がなぜクリアできたのか。国税庁OBが監査役に入っているようですから、うまく運べたのかもしれません。そうだとすれば、自社株などの資産を継承したときの莫大(ばくだい)な相続税に対する納税が猶予されている可能性があります」
との見解を示す。
「ジュリー氏は株主として、先代が残した資産などいいところだけでなく、社会的責任も承継しなければならないのではないでしょうか。それが今の日本の高度な文明、文化のあるべき姿では。ジュリー氏にはその模範を示して欲しい」
10月2日、ジャニーズ事務所がどのような公表をするのか注目される。
(AERA dot.編集部・上田耕司)